多数歯欠損のインプラント補綴


 患者さんは52歳、女性。上顎の床義歯の違和感を主訴に来院されました。

 上顎の唯一残っている臼歯、左上7番と前歯4本によって咬合が支持されていました。

 上顎欠損部の顎堤は垂直的には吸収が大きいが、上顎洞底が高位にあり、さらに顎堤の幅もインプラントの埋入には問題ないと判断し、患者さんの希望どうり、インプラント補綴により、固定式のブリッジとすることにしました。

 右上4567欠損に3本、左上23456欠損に4本ITIインプラントを埋入しました。

 右上4567欠損のインプラント補綴後の口腔内所見です。右上4番は骨欠損が大きかったため近心カンチレバーとしました。

 左上23456欠損に埋入した4本のインプラントは平行性を補正するため、近心2本は内冠で連結し、ラテラルスクリューにて外冠を固定する方法を採用しました。

 左上23456欠損部のインプラント上部構造装着後の所見です。左上23番部舌面にラテラルスクリューによってネジ止めされているのが、認められます。

 初診より5年の現在の所見です。今から考えると未熟な点が幾つか認められますが、上部構造の適合は良好ですし、これまで、問題なく経過しています。

 インプラント周囲組織はとても良好です。

 患者さんは床義歯の違和感から開放されて、たいへん満足されています。