歯周炎について



歯周炎は細菌の塊であるプラークによって引き起こされます。よって先に松田歯科衛生士が述べたようにブラッシングによってプラークを取り除くことがとても大切です。歯周炎とは歯肉、歯根膜、セメント質、および歯槽骨よりなる歯周組織が破壊される疾患です。歯周炎は歯肉炎という歯肉に限局した炎症から始まり、徐々に進行して歯周組織全体を侵し、放置しておくと抜歯に至ります。今回は歯周炎によって、どのように歯が失われていくか、そのメカニズムについて説明したいと思います。

図1:歯と歯周組織



図2:健康な状態


プラークが堆積すると歯と歯肉の隙間から歯周炎菌が侵入し、歯肉に炎症を起こします。図3左端は歯肉炎で炎症が歯肉に限局している状態です。この時点で、ブラッシングをしっかり行えば、もとの健康な状態に回復することができます。しかしこのまま放置されると歯と歯肉の隙間はどんどん広がり、いわゆる歯周ポケットを形成します。そしてプラークはどんどん歯周組織内に侵入し、歯根面に歯石が付いて、歯根を覆っているセメント質は汚染され、炎症はさらに深部におよび、やがて図3右端のように歯槽骨も吸収され、歯は支えを失って動揺し、やがて抜歯となります。


図2歯周炎に侵された状態

このような仕組みで歯周炎は進行し歯が喪失されるのです。歯周炎は慢性疾患と言われていますが、実際には増悪期と静止期を繰り返していると言われています。みなさんは、時々歯がういた感じがしたり、または歯肉から出血したりなどの症状を1度や2度は感じたことがあるのではないでしょうか。しかし、その時は気になって、すこしいっしょうけんめい歯磨きをしたか、または歯医者さんにいって応急処置をしてもらったかして、症状がとれたらそのまま放置というパターンを繰り返してきてはいませんか。実はそのような症状は歯周炎のサインであり、症状がとれたのは歯周炎が治ったのではなく、静止期にあるだけなのかもしれません。ですから、もしあなたが、歯肉からの出血、歯がうく、そして咬むと痛い、などの症状を感じたら、まず歯科医院を受診し、歯周炎の検査を受け、診断してもらって、病態の説明とアドバイスを受け、ブラッシング指導、歯石除去、などの歯周基本治療を真っ先に受けることをお勧めします。歯周炎の予防と治療には、とにかく早期発見、早期治療、そしてなによりもブラッシングと状況の確認のための定期検診が大切なのです。


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