療育手帳についての考察
北海道小鳩会(ダウン症候群父母の会会員) 北澤 一彦 96/12/20一部改訂


目次


☆はじめに

 95年1月1日に、2番目の子供「茉依(まい)」が生まれました。生後1ヶ月の時に、突然のチアノーゼに驚き近くの小児科へ。翌日から札幌市内の病院に入院となりました。この日から私たち親子が「障害児」として生活する事になったのです。最初は心臓の具合が悪いだけだと思っていましたが、追い打ちを掛けるように「ダウン症」であると告知を受けました。色々な方の助言を頂き、障害者として公的な助成を受けるための手続きや資料を集めていました。そんな中で「身体障害者手帳」や「療育手帳」(注1)を知りました。身障者手帳は簡単に取得する事が出来ましたが、療育手帳を取得するするには色々な手続きが必要でした。その手続きや取得資格などには全国格差が存在する事もパソコン通信(注2)で知りました。全国格差は、様々な要因で生まれているため簡単には解消できませんが、少しでもこれから療育手帳を取得しようという方々のお役に立つ事が出来れば幸いです。
☆療育手帳とは

自治体により細かな差がありますが、概ね下記の様な物です。(なぜに呼び名が違うのか?それは療育手帳の制度が法律ではなく、厚生省児童家庭局長通知を元に作られ実施に当たっては各都道府県知事・指定都市市長に任されているからです。)

目的:
対象:
判定機関及び手続き:
  1. 18才未満の場合、児童相談所で、また18才以上は心身障害者総合相談所等で判定を受けます。これも地域によって相談所の名称が違います。なお精神科医に診断・治療を受けている場合は、医師の診断書を判定所に代える事ができます。
  2. 判定書・写真(タテ4cm×ヨコ3cm)・印鑑・申請書を児童相談所、社会福祉事務所または町村役場などに提出します(地域により申請窓口が異なりますので、詳しくは居住地の福祉事務所にお尋ね下さい)
  3. 判定が認められた場合は、申請後おおむね1ヶ月で手帳が交付されます。

認定機関:
新規申請の流れ(図1):



判定基準(表1):


各種優遇制度(95/7時点):
特別児童扶養手当 1級(重度)月50,350円 20才未満まで、2級(中度)月33,530円 20才未満まで 20才以上は、障害基礎年金に変わる 市町村の福祉課
障害児福祉手当  日常生活で介護を必要とする20才未満の在宅障害児に支給 月14,270円 市町村の福祉課
障害基礎年金 20才以上の障害者に支給 1級月81,825円・2級月65,458円障害基礎年金に限らず、殆どの制度は申請の手続きが必要 市町村の国民年金課
特別障害者手当 20才以上の、特に重い障害者に支給 月26,230円 市町村の福祉課
日常生活用具 重度が対象 特殊マット、電動歯ブラシ、火災、報知器、自動消火器、頭部保護帽が対象品目 福祉事務所
育成医療手当 精神薄弱児で身体障害を併せ持つ場合、指定医療機関での医療費が助成される 保健所
更生医療手当 育成医療は18才未満が利用できるが、18才以上は更生医療になる。身体障害者手帳をもっている事が条件 窓口も変わる 福祉事務所
障害者控除  本人または扶養家族が精神薄弱者と判定された場合、税額を計算する所得額から、所得税の場合27万円、住民税の場合26万円が控除される(要 確定申告) 税務署
特別障害者控除 本人または扶養家族が重度の精神薄弱者と判定された場合、税額を計算する所得額から所得税の場合35万円、住民税から28万円が控除される(要 確定申告) 税務署
扶養共済掛け金の控除 心身障害者扶養共済制度の掛け金を所得金額から控除できる。また、給付金は非課税(要 確定申告) 税務署
自動車税の減免  重度の精神薄弱者の家族が、障害児・者のために運転する自動車の自動車税、軽自動車税は減免される  市町村
相続税の控除 税額から、本人が70才になるまでの年数に6万円(重度は12万円)を掛けた金額が控除される 税務署
贈与税の控除 信託銀行に特定贈与信託した場合、6000万円まで非課税になる 税務署



その他
JR・民間の鉄道運賃 100km以上の場合、普通乗車券、乗車券、急行券、定期券、回数券が半額。重度で介護者とも半額で利用できる(距離に関係なく)
航空運賃 片道運賃が25%引き、重度で介護者とも片道運賃が25%引きで利用できる
旅客船運賃 100km以上の場合、普通乗船券が半額、重度で介護者とも半額で利用できる
バス運賃 半額、重度で介護者とも半額で利用できる
タクシー運賃 10%割引(主な市から順次導入)タクシーチケットを配布している自治体有り
NHK受信料の減免 障害児のいる低所得所帯は全額免除・所帯主が障害者の場合は半額免除(福祉事務所の証明が必要)




☆療育手帳を取得するために まず当事者がしなければならない事

まずは自分の子供に何らかの障害が見つかった場合は、市町村の福祉課の窓口や地域の保健婦さんに良く話を聞いてみることです。前項の内容などは殆どここで説明を受ける事が出来ます。図1の様な流れが理解できるはずです。
子供の事を良く知っている病院の先生に療育手帳を取得したい旨を伝え、アドバイス等をしてくれるか確かめる。後述の診断書にも関わってきます。
地域によっては、年齢を制限している事もあります。だいたい3歳を目途に判定時期を決めている所もありますが、法的な年齢制限はありません。仮に福祉課の窓口等で年齢の事を言われた場合は、児童相談所に確認する事も大切です。児童相談所の考えが100%伝わっているとは限りませんから。
直接児童相談所に出向かなくても電話で色々確認が取れますので、分からない事や納得できない時は、何度でも確認しましょう。短気を起こしても子供の為にはなりません。
判定を受ける事になった時に、子供の障害に対しての診断書を必要とする地域も有りますが必要ないと言われても一応用意しましょう。1,2時間の判定時間で全てが分かるはずもありません。少しでも正しく判定して貰うためにも用意して下さい。
通常の判定時には、知的面の検査官と成長面の検査官で行いますが、小さな子供の場合には、小児科医の助言が必要です。判定時に小児科医も立ち会うのか確かめましょう。常勤の場合は少ないので、後日足を運ぶ事になるかもしれないですから。1度で済むように働きかけましょう。




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